ひょんなことから、ソ連から独立数年後のエストニア政府と働いていた人に会った。旧ソ連弱貧国→世界no.1デジタル国家への道のり。

今日、ひょんなことから、ソ連から独立して数年後のエストニア政府と一緒に働いていた女性と話した。

 

効果音を付けるなら、ひょん!ていう感じで。昔何をしていたのか、(ほんとにただ会話をつなげるために...)聞いたら、「1990年代半ばからエストニア政府と働いていた」と。

 

突然歴史の授業を挟むと、エストニア旧ソ連の国で、1991年にソ連崩壊と共に、独立を果たしたんですよ奥さん。

 

エストニアと言えば、人口130万人(日本で言えば福岡市くらい)の小国にもかかわらず、(むしろだからこそ?)

・外国人がエストニアのシステムを使って海外にいながら会社を設立できるe-Residency(電子居住)があったり、(アベさんも持ってるらしい)

・2007年に世界で初めて国政選挙でのオンライン投票を始めたり、

・政府が仮想通貨を発行しようと準備していたり、

まあとにかくテクノロジーが怖いくらい進んでる国として名を馳せ始めてる気がします。

 

でも、たった26年前まではソ連だったんですよ。エストニアに行った時にジモティが言ってたけど、西洋のテレビや映画を見るためにフィンランドのテレビ通信を傍受してたとか、そういうレベルだったらしい。※ジモティ・・・「地元民」。

 

それをぐいーーーーと急に変えたのは、独立直後のエストニア政府だったと言われています。

1992年に総理大臣になったMart Laar。彼は当時32歳。 3   2   しゃい。。。。

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(全然32歳に見えない...)

 

フランスのマクロン大統領とか、カナダのトルドー首相とか若い若い言われてるけど、マクロン39歳、トルドーなんか45歳だからね。(ウチらのアベさん、63歳☆)

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(ベイビー:「意外とおっさんや〜ん!」)

 

若いのは、Laarだけじゃなくて、彼の内閣の平均年齢はなんと35歳!(The Economistより)どこのスタートアップ企業だよって感じ。

でもある意味、スタートアップ企業みたいなものかもしれない。ソ連から独立して、政府も国民も再スタートしたわけだしね。

 

で、今日会った女性は、計算してみると、多分彼の二期目の内閣と一緒に働いていたみたい。(Laar一期目:1992-1994、二期目:1999-2002)

 

彼女によると、Laarはかなりテクノロジー化に意欲的だったという。(でも彼のバックグラウンド調べたら、歴史学専攻で歴史の先生をしてたみたいだけど。文理両道?)

 

彼女に話を聞いてみると、

 

エストニアのひと:『当時はインターネットがどんどん盛んになってきていて、わたしたちはこれが一体どんな風になるか分からなかったけど、とにかくデジタル化を進めていこうとしてた。まさか今こんなに大きいことになるとは全く思っていなかったけどね。』

 

わたし:「でも、反対とかなかったんですか?そんな急激に進められるものですか?」と聞いたら、

 

エストニアのひと:『あまりなかった。だって、デジタル化を進めていくことは、行政の透明性(transparency)を高めていくから、国民にとってもいいことだったと思う』

 

いやその考えはなかった。

私が、あまあまなワカモンだからかもしれないけど、透明性の視点から行政のデジタル化を考えたことってなかった。

 

役所に行かずに住民登録できるのって便利じゃん、オンライン投票も便利じゃん、

ていうかデジタル国家とかなんかかっこいいね

 

くらいにしか思ってなかった。

 

ソ連時代に行政で腐敗がはびこっていた旧ソ連国のエストニアにとっては、デジタル化っていうのはただ「便利だから」「世界の先行く感じでかっこいいから」じゃなくて、もっと切実な役目「行政を再び腐敗させないこと」があるんだなと思った。

 

日本の政府団もなんどもエストニアに行って、行政のデジタル化を日本でもまねして取り入れようとしているみたいだけど、なかなかうまくいかない理由が分かる気がする。

 

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(誰も幸せになってない(と私は思ってる)マイナンバー制度)

 

日本では、行政をデジタル化することと行政の透明化ってそんなにセットになって語られることじゃないような気がする。

便利だから、っていう文脈がやっぱり多いような。

 

エストニアにとっては、行政がなにしてるのか不透明で腐敗だらけっていうソ連時代の過去が、行政の透明化・デジタル化を身近かつ重要なことにしてるんだろうな。

 

たった26年前に独立したわけだし、ソ連時代もそんな遠い過去じゃないんだよな〜と改めて感じる。

 

エストニアでロシア語話せる人もすごい多いもんね。(ただ、ロシア語とエストニア語はかなり言語として違うので、ソ連に組み込まれた国の中でもエストニアはロシア語を話せるようになるまで苦労したってエストニア行ったとき聞いた。ジモティから。)

 

いや頭では分かってるつもりでも、なんか直接話を聞くと、ソ連がそんなに近いものなんだとびっくりするわ。

 

エストニアしゅきしゅき言ってるけど、私は変わったあとのエストニアしか知らないわけで、ソ連時代を知っているエストニアの人からしたら、やばい変わりようなんだろうなと思った。ただテクノロジー進んでてかっこい〜〜みたいなんじゃなくて。

 

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ちょっとそんなに言うならエストニアの政府の透明性すごい高いんだろうなと思って、Transparecy InternationalのCorruption Perceptions Index 2016ていう国家の透明性・腐敗してない度を測るやつ見て見たら、

エストニア、22位。

 

(え、微妙じゃね?)

 

 

日本、20位。

 

まさかの日本の方が上なんですけど。うそ〜〜〜っていう。

 

でも、ロシアが131位なところを見ると、ソ連の腐敗にはエストニアのテクノロジー化っていうのは効果的だったのかしら。ロシアをおとしめたいわけじゃないけども。

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 (犬好きな誰かさんのせい....?)

 

なんだか相変わらず綺麗にまとまらないブログです。

 

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でも、エストニアの急進的に見えるデジタル化には、行政の透明化っていう切実な役割があって、ソ連時代の腐敗の記憶がある国民の支持を得ながら進んで来たということがわたし的にはすごく印象に残りました。

 

印象に残ったっていうより、納得したっていうのが正しいかもしれない。なんでエストニアはこんなに急進的にデジタル化を進められるんだろう?と疑問に思っていたので。

しかも、「かっこいいと思ってやってる感」が全然ないのもすごい長年の疑問だったから。

シリコンバレーとかかっこいいじゃないですか。

でも、エストニアでデジタル化進めてたり最先端のことやってる人ってなんか「かっこいいことしてる感」出す人が全然いない気がずっとしてて、それがすごい不思議だなあと思ってたのです。

 

歴史的な必要性(もしくは歴史的に必要と感じることと言うべきかも)からデジタル化をやってると考えると、つじつまがあう。

ソ連時代の腐敗だけがエストニアのデジタル化の理由ではないかもしれないけど、やはり大きな要因であることは間違いなさそうだ...と思ってます!

 

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にしても、国家の透明性ランキング、もうちょっとがんばりたいところだね、エストニアさんよ。。。(2位上なだけで日本が言うなて感じですかね。)